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総論:カルトとは何か

カルトとは何か

 

「カルト」という言葉をよく聞くようになって随分になりますが、その意味合いは使う人によって相当な幅があるように思われます。不要な混乱をもたらさないためには、その言葉の意味をできるだけ正確に把握する必要があります。

「カルト」という言葉は、もともとは「礼拝、儀式」を意味する言葉だったようです。あるいは、「古い宗教に対立して起こった新しい宗教」…くらいの意味で使うこともあったようです。この意味では、キリスト教も2000年前には立派なカルトだったということになるでしょう。その場合、カルトは必ずしも悪い意味合いを持ったわけではないことになります。

しかし、現在の宗教現象を扱う場合、「カルト」と言う言葉は段々より特殊な意味で使われるようになってきました。「破壊的カルト」と呼んでもよいような宗教集団(場合によっては宗教以外のグループに用いることもありますが、ここでは宗教グループに限って考えてみます)を「カルト」と呼ぶようになってきたのです。そこで、ここでも「カルト」を「破壊的カルト」の意味で用いたいと思います。

では、「破壊的カルト」(=カルト)というのは、どういう宗教でしょうか。これまでいろいろな定義がなされてきていますが、ここでは、以下のような3つの意味で破壊的な宗教を指すことにしたいと思います。

・信者本人の人格破壊

・信者と信者の家族との間の関係破壊

・信者と社会との関係破壊

ただこのように書いただけでは、その恐ろしさもピンと来ないかもしれません。しかし、実際「破壊的カルト」と呼ばれるグループに関わりを持ち、上記の三点のことを目の当たりに経験するようになると、その恐ろしさは、大変なものです。私たちの常識では理解できないものがそこに表れてくるのです。

そして、そのような破壊性をもたらすものとして重要な役割を果たすのが「マインド・コントロール」と言われるものです。

ですから、改めてカルトを定義するとすれば、以下のようになるでしょう。

「マインド・コントロールの方法を用いて、上記3つの領域での破壊をもたらす宗教組織」

しかし、当然ここで、マイント・コントロールについての正しい理解が必要になってきます。

 

マインド・コントロールとは何か

 

「マインド・コントロール」という言葉もまた、最近頻繁に聞くようになった言葉です。そして、やはり相当あいまいな使われ方をしています。実際、米国では相当広い意味で(特に悪い意味を持たない意味で)使われてきた経緯もあるようです。

そのような中、カルト問題が深刻になってきたことを背景として、「マインド・コントロール」という言葉の意味も限定して用いようという動きが起こってきました。多くの場合、大体以下のような意味合いで使われるようになってきたようです。

「ある人物(組織)が、個人の人格(信念、行動、思考、感情)を破壊して、それを新しい人格に置き換えてしまうように影響力を人工的体系的に与えること。しかも、本人自身には強制されていると感じさせないで。けれども、もし事前に適切な情報が与えられていたら、決して成功しないような仕方で。」

そんなことができるのだろうか、と思われる向きもあるかと思いますが、カルトと呼ばれる宗教組織は、それを見事に行なっています。その恐ろしさは、身近にそれを経験した人でなければ、十分感じ取ることが出来ないであろうと思います。その具体的な方法については、下記にご紹介した参考文献を参照下さい。

 

カルトの見分け方

 

カルトを見分けるのに分かりやすい特徴を箇条書きにするなら、以下のような点を挙げることができるでしょう。これらをチェックしていけば、その宗教がどれほどカルト性を持っているかを知ることができます。必ずしもカルトが以下のすべての特徴を有しているわけではありませんが、その大部分が当てはまるなら、カルトと考えて差し支えないと思います。

1.真理はその組織に占有されており、その組織を通してのみ知ることができると主張する。

2.組織を通して与えられた情報や考え方に対しては、疑ってはならない

3.自分の頭で考えることをしないように指導する

4.世界を組織と外部とに二分する世界観を持つ

5.白黒を常にはっきりさせる傾向が強い

6.外部情報に対して強い警戒感を与え、信者の情報経路に様々な制限を加える

7.信者に対して偏った情報、偽りの情報を提供することがしばしばある

8.組織から離脱した人間からの情報に接することを禁じる

9.家庭や社会との関わりで多くのトラブルを生じている

10.社会からの迫害意識を持ち、それをかえってバネにする

11.外部に対して正体を隠す傾向がある

12.生活が細部にわたって規定される

13.組織が信者の生活のすべてになっている

14.共同体内部でのみ通用する言葉を多く持っている

15.組織からの離脱について極度の恐怖心を与える

更に具体的に、ご自分で接する宗教団体がカルトであるかどうかを見分けるためには、以下のような点に注意を払うとよいでしょう。

1.誘われたグループについて外部からの情報を集める

2.そのグループの特徴を内部からも探る(観察、質問、内部文書等によって)

3.どんな状況においても自分自身を見失わないようにする

 

あなたにもできるカルト対策

 

カルトに対して私たちがなすべきことは多くありますが、最も基本的なことは以下の3点でしょう。

1.自分自身を守る

まず、自分自身がカルトに取り込まれないよう、注意する必要があります。上記のようなカルトの見分け方をしっかり身につけると共に、代表的なカルトについては、その特徴や布教方法、歴史、教義など、できるだけ正確な知識を日頃から得ておくと良いでしょう。

更に、カルトであることが分かっていながら、自分を過信して生半可な知識でもってカルトに近づくことは危険です。マインド・コントロールの力を軽視してはいけません。そのようにしてカルトに近づき、取り込まれてしまった人々が多くいます。

2.家族や周囲の人々がカルトに入らないよう注意する

いくつかの危険信号があります。

たとえば、統一協会の場合、
・遅い帰宅、あいまいな外出、不在期間が多くなる
・あいまいな「合宿」
・住居の変更
・うそをつく
などが危険信号になります。それぞれのグループで特徴が違ってきますから、幅広い情報収集を日頃から行っておくことが必要です。

3.家族や知人がカルトに関わっているかもしれないという時

この場合の対応は非常に注意深く、かつ早急に行う必要があります。

・まず、早急な情報収集によって団体の特定をする

・どれほど深入りしているかを知る(本人に聞いてもうそを言う場合も多い)

・早急に、カルトについて専門的知識や経験を持つ方々と連絡を取り、正確な情報や必要な対応についてのアドバイスを得る。(とりあえず、このサイトのトップページに記載されているリンク先にご相談されることを強くお勧め致します。)

ここで注意すべきは、そのような専門知識を持つ方々との接触を本人には知られないようにすることです。時には、知られてしまうことによって、家族との連絡を一切絶つようなこともあります。その後のことは、専門家の助言によく耳を傾けて下さい。素人判断で勝手に行動すると、ご本人を助け出すことを難しくする場合があります。

どのような事態になっても、希望を捨てないで下さい。ご家族の本人に対する愛情が一番重要です。

「愛は…すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える」(聖書)

 

主な参考文献

 

マインド・コントロール研究所「親は何を知るべきか」(いのちのことば社)

中澤啓介「宗教は恐ろしいか」(大野キリスト教会)

スティーブン・ハッサン「マインド・コントロールの恐怖」(恒友出版)

浅見定雄「統一協会=原理運動 その見極め方と対策」(日本基督教団出版局)

 

リンク

 

カルトに傷ついたあなたへ

 

カルトからの脱会経験を持つ作成者が、単にカルトを外側から非難するのでなく、経験者として、カルトやマインド・コントロールに苦しむ人々のために役立ちたいと考え、作られたホームページ。

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